あなたの不調、もしかして男性更年期?40代からの男性のためのセルフチェックリストと乗り越え方

男性の40代、それは変化の始まりのサインかもしれません
「最近、どうも疲れがとれない」「やる気が起きない」「前よりイライラしやすくなった気がする」「夜中に目が覚めることが増えた」──。
もし、あなたが40代以降で、このような心身の不調を感じているなら、それは単なる加齢のせいだけではないかもしれません。もしかしたら、「男性更年期(LOH症候群:Late-onset Hypogonadism)」のサインである可能性があります。
「更年期」と聞くと、女性特有のものというイメージが強いかもしれませんが、実は男性にも更年期は存在します。男性更年期は、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の減少が主な原因で起こる、様々な心身の不調の総称です。この症状は、人によっては非常に深刻で、日常生活に大きな影響を及ぼすこともあります。
しかし、男性更年期はまだ広く知られているとは言えず、「気のせい」「歳のせい」と片付けられてしまいがちです。そのため、適切な対処が遅れ、不調が長引いてしまうケースも少なくありません。
本記事では、日本臨床栄養協会のNRサプリメントアドバイザーの監修のもと、男性更年期に関する正しい知識と、あなたの不調が男性更年期によるものなのかを判断するための「セルフチェックリスト」を提供します。さらに、その症状とどう向き合い、乗り越えていくかについての具体的なQ&A形式のアドバイスもご紹介します。
もしかしたら、長年抱えていたその不調の正体が、この知識で見えてくるかもしれません。
1. 男性更年期(LOH症候群)とは?そのメカニズムと症状の多様性
男性更年期障害は、医学的には「LOH症候群(Late-onset Hypogonadism:加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼ばれます。これは、加齢に伴い男性ホルモンであるテストステロンが減少し、それに伴って身体的、精神的、性的な多様な症状が現れる状態を指します。
1-1. テストステロンとは?男性にとってのその重要性
テストステロンは、男性の主要な性ホルモンであり、主に精巣で生産されます。思春期には、男性らしい体つき(筋肉の発達、体毛、声変わりなど)を形成する上で中心的な役割を担います。成人期以降も、テストステロンは私たちの心身の健康に多岐にわたる影響を与えています。
・ 身体的側面: 筋肉量や骨密度の維持、体脂肪の減少、赤血球の生成、精子の形成、内臓脂肪の蓄積抑制などに関与します。
・ 精神的側面: 意欲、集中力、記憶力、気力の維持に影響を与え、うつ症状や不安感とも関連があるとされます。
・ 性的側面: 性欲(リビドー)の維持、勃起機能に重要な役割を果たします。
テストステロンの分泌量は、一般的に20代をピークに、40代以降から緩やかに減少し始めます。しかし、その減少度合いや、それに対する体の反応は個人差が大きく、減少が病的なレベルに達し、LOH症候群として症状が現れる人もいれば、ほとんど症状を感じない人もいます。ストレス、生活習慣、病気などもテストステロンの減少に影響を与える可能性があります。
1-2. 男性更年期に現れる多様な症状
男性更年期の症状は多岐にわたり、人によって現れ方が異なります。また、これらの症状は他の病気と区別がつきにくい場合もあるため、自己判断せず、専門医への相談が重要です。
身体症状
・ 全身の倦怠感・疲労感: 朝起きてもすっきりしない、体がだるい、疲れやすい。
・ 筋肉量・筋力の低下: 以前より力が出なくなった、運動しても筋肉がつきにくい。
・ 体脂肪の増加: 特に腹部に脂肪がつきやすくなる(内臓脂肪の蓄積)。
・ 発汗・ほてり・のぼせ: 突然顔が熱くなる、汗が止まらないなど。
・ 関節痛・腰痛・肩こり: 原因不明の体の痛み。
・ 睡眠障害: 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、熟睡感がない。
・ 頭痛・めまい・耳鳴り: 不定愁訴として現れることがあります。
・ 頻尿: トイレが近くなる。
精神症状
・ 意欲の低下・無気力: 何事にもやる気が起きない、億劫に感じる。
・ 集中力・記憶力の低下: 仕事でミスが増える、物忘れがひどくなる。
・ イライラ・怒りっぽい: 些細なことで感情的になる、落ち着かない。
・ 不安感・抑うつ気分: 気分が落ち込む、悲観的になる、漠然とした不安を感じる。
・ 不眠症: 精神的な不調が睡眠にも影響を与えることがあります。
性機能関連症状
・ 性欲の低下(リビドーの低下): 性的な関心が薄れる。
・ 勃起機能不全(ED): 勃起しにくい、勃起が持続しない。
これらの症状は、加齢による自然な変化、仕事のストレス、生活習慣の乱れなど、様々な要因が絡み合って生じることもあります。しかし、複数の症状が長期にわたって現れている場合は、男性更年期の可能性を疑ってみることが大切です。
2. あなたの不調、もしかして男性更年期?セルフチェックリスト
ご自身の現在の心身の状態を客観的に把握するために、以下のセルフチェックリストを活用してみましょう。これは、男性更年期障害のスクリーニングに用いられる国際的な指標「AMS(Aging Male Symptoms)スコア」を参考に作成したものです。
過去1ヶ月間に、以下の症状がどの程度あったか、最も近いものを選んでください。
点数表
・ なし:1点
・ 軽度:2点
・ 中程度:3点
・ やや重度:4点
・ 重度:5点
セルフチェックリスト
1. 全身の倦怠感や疲労感を感じることがありますか?
2. 体の筋力低下や、筋肉量の減少を感じることがありますか?
3. 関節や筋肉の痛み(腰痛、肩こりなど)を感じることがありますか?
4. ひどく汗をかく、ほてり、のぼせを感じることがありますか?
5. 睡眠の質が悪い(寝つきが悪い、夜中に目が覚める、熟睡感がない)と感じることがありますか?
6. イライラしやすく、怒りっぽくなったと感じることがありますか?
7. 神経質になった、あるいは不安感を感じることがありますか?
8. 憂うつな気分になったり、悲観的になったりすることがありますか?
9. 何事にも意欲がわかない、無気力になったと感じることがありますか?
10. 精力の低下(性欲の低下)を感じることがありますか?
11. 勃起の質や頻度の低下(勃起機能不全)を感じることがありますか?
合計点数の評価
・26点以下: 男性更年期の可能性は低いかもしれません。
・27点~36点: 男性更年期の可能性があります。生活習慣の見直しから始めてみましょう。
・37点~49点: 男性更年期の可能性が高いかもしれません。専門医への相談を強くお勧めします。
・50点以上: 男性更年期の可能性が非常に高いかもしれません。早急に専門医に相談し、適切な診断と治療を検討しましょう。
※注意点
このセルフチェックリストはあくまで自己評価の目安であり、医学的な診断に代わるものではありません。点数が高い場合や、気になる症状がある場合は、必ず泌尿器科や男性更年期外来などの専門医を受診し、正確な診断を受けてください。他の病気が原因である可能性も考慮し、総合的な判断が必要です。
3. 男性更年期に関するQ&A:疑問を解消し、適切な対処法を見つける
ここからは、男性更年期に関してよくある疑問に、Q&A形式でお答えします。
Q1: 男性更年期は何歳くらいから始まるのですか?
A1: 男性更年期は、一般的に40代半ばから50代にかけて発症することが多いとされていますが、個人差が非常に大きいです。早い人では30代後半から症状が現れることもありますし、60代以降に顕著になる人もいます。テストステロンの分泌量は、20代をピークに緩やかに減少していきますが、その減少のスピードや、症状として現れるかどうかは、遺伝的要因、生活習慣、ストレスなど様々な要因が複合的に影響すると考えられています。
Q2: 男性更年期は治るのでしょうか?
A2: 男性更年期は、適切な診断と治療、そして生活習慣の見直しによって、症状を改善することが期待できます。テストステロン補充療法が有効な場合がありますが、これは医師の厳密な管理のもとで行われるべき治療です。また、運動療法、食事療法、ストレスマネジメントなど、生活習慣の改善が症状の緩和に大きく貢献します。完治というよりは、症状をコントロールし、生活の質(QOL)を高めることを目指す、という表現が適切かもしれません。
Q3: どのような医療機関を受診すれば良いですか?
A3: 男性更年期障害の診断と治療は、主に泌尿器科や「男性更年期外来(メンズヘルス外来)」を標榜している医療機関が専門となります。総合病院の内分泌内科や精神科でも対応している場合があります。受診の際は、「男性更年期ではないかと心配で」と具体的に症状を伝え、相談してみましょう。血液検査でテストステロン値を測定し、他の病気の可能性も確認しながら診断が行われます。
Q4: テストステロン補充療法とはどのような治療ですか?
A4: テストステロン補充療法は、不足しているテストステロンを体外から補う治療法です。注射剤、内服薬、塗り薬など様々な方法があります。症状の改善が期待できますが、治療にはメリットとデメリットがあり、すべての人に適応されるわけではありません。例えば、前立腺がんや前立腺肥大症の既往がある方、睡眠時無呼吸症候群の方は慎重な判断が必要です。必ず医師の診断のもと、副作用のリスクも理解した上で治療方針を決定します。
Q5: 薬に頼らず、自分でできることはありますか?
A5: はい、男性更年期の症状改善には、薬物療法だけでなく、日々の生活習慣の見直しが非常に重要です。むしろ、ここから始めるべきだと言えるでしょう。
・バランスの取れた食事: 栄養バランスの取れた食事は、体の機能を正常に保ち、テストステロンの分泌をサポートする可能性があります。特に、タンパク質、亜鉛、ビタミンD、マグネシウムなどを意識して摂取しましょう。加工食品や高脂質・高糖質な食品は控えめに。
・適度な運動: 筋力トレーニングはテストステロンの分泌を刺激すると言われています。有酸素運動も組み合わせ、週に数回、継続的な運動を心がけましょう。
・質の良い睡眠: 睡眠不足はテストステロンの分泌を抑制する可能性があります。規則正しい睡眠リズムを心がけ、十分な睡眠時間を確保しましょう。
・ストレスマネジメント: 慢性的なストレスはテストステロンの分泌を低下させることが知られています。趣味、リラックス法、瞑想など、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
・禁煙・節酒: 喫煙や過度な飲酒は、テストステロンの低下や全身の健康に悪影響を及ぼします。
・日光浴: ビタミンDの生成を促すためにも、適度な日光浴は有効です。
これらの生活習慣の改善は、テストステロンのレベルを自然に高める可能性があり、症状の緩和だけでなく、全体的な健康増進にもつながります。
Q6: サプリメントは男性更年期に効果がありますか?
A6: 特定のサプリメントが「男性更年期を治す」「テストステロン値を劇的に上げる」といった効果を断定することはできません。しかし、特定の栄養素の不足を補うことで、健康維持やQOL向上に貢献する可能性はあります。
日本臨床栄養協会NRサプリメントアドバイザーの視点から言えば、以下のような栄養素が、男性の健康、特に男性ホルモンの産生やその作用に関与している可能性が示唆されています。
・亜鉛: テストステロンの合成に重要な役割を果たすミネラルとして知られています。
・ビタミンD: テストステロン値と関連があるという研究報告も出てきています。日光浴での生成に加え、食品やサプリメントからの摂取も検討されます。
・マグネシウム: 筋肉機能、神経機能、エネルギー産生に関わるミネラルです。テストステロンの遊離型(活性型)を増やす可能性が示唆されています。
・L-シトルリン/L-アルギニン: 血流改善に役立つと言われ、勃起機能のサポートに期待される成分です。
・その他: マカ、トンカットアリなど、男性の活力維持をサポートすると言われるハーブもありますが、科学的根拠はまだ限定的である場合が多いです。
【サプリメント活用の注意点】
サプリメントはあくまで「栄養補助食品」であり、薬ではありません。「病気の予防や治療」を謳うことは薬機法で禁止されています。また、特定の効果効能を断定する表現もできません。サプリメントは、食生活が十分に整っていることを前提に、不足しがちな栄養素を補い、健康維持やQOL向上をサポートする可能性のあるものとして捉えるべきです。
サプリメントは、生活習慣改善の土台の上に立つ「+α」の選択肢として、賢く活用していくことが大切です。
Q7: 男性更年期は放置するとどうなりますか?
A7: 男性更年期の症状を放置すると、心身の不調が長期化し、生活の質(QOL)が著しく低下する可能性があります。精神的な症状が進行すると、うつ病へと移行するリスクも考えられます。また、テストステロンの低下は、骨粗しょう症、メタボリックシンドローム、糖尿病、心血管疾患のリスクを高める可能性も指摘されています。
早期に自身の変化に気づき、適切な対処を始めることが、これらのリスクを軽減し、健康的な日々を取り戻すための鍵となります。
4. 専門家からのアドバイス:早期発見と生活習慣の見直しが鍵
サプリメントアドバイザーとして、男性更年期の兆候を感じ始めた方へ、以下のメッセージをお伝えします。
「男性更年期の症状は、多くの方が経験しうるものです。一人で悩みを抱え込まず、まずはご自身の体と心の変化に注意を向け、セルフチェックリストを活用してみてください。もし気になる点があれば、恥ずかしがらずに専門医に相談することが、何よりも大切です。
そして、日々の食生活、適度な運動、質の良い睡眠、ストレスマネジメントは、男性更年期の症状緩和だけでなく、総合的な健康維持・増進に不可欠です。これらの生活習慣の改善は、テストステロンの分泌をサポートし、あなたの活力を取り戻すための強力な味方となるでしょう。
サプリメントは、あくまでも補助的な役割を果たすものです。バランスの取れた食事を基本とし、不足しがちな栄養素を補う目的で、科学的根拠に基づいた信頼できる製品を、適切な量で摂取することが重要です。不明な点があれば、私たちNRサプリメントアドバイザーや、かかりつけの医師にご相談ください。
男性更年期は、決して避けて通れないものではありません。適切な知識と行動で、この時期を乗り越え、より充実したセカンドライフを送りましょう。」
あなたの健康を、もっと知ろう、もっと大切にしよう
「男性更年期」は、男性が年齢を重ねる中で経験しうる自然な変化の一つです。しかし、その症状は日々の生活に大きな影響を及ぼし、QOLを低下させる可能性があります。
本記事でご紹介したセルフチェックリストは、あなたの不調が男性更年期によるものかもしれない、という「気づき」のきっかけとなることを目指しています。そして、その気づきが、専門医への相談や生活習慣の見直しといった「次の一歩」につながることを願っています。
男性更年期の症状は多岐にわたりますが、適切な対処をすることで、多くの場合は改善が期待できます。一人で抱え込まず、早めに専門家のサポートを求めること、そして日々の食生活、運動、睡眠、ストレスマネジメントといった基本的な健康習慣を大切にすることが、あなたの健康寿命を延ばし、充実した毎日を送るための鍵となるでしょう。
エイジレスマン は、男性の健やかな未来を応援します。あなたの健康を、もっと知り、もっと大切にすることで、年齢に左右されない、活力ある人生を築いていきましょう。
監修:NRサプリメントアドバイザー(日本臨床栄養協会)
サプリメントアドバイザー(日本ニュートリション協会)
長谷川 貴志
(注記)
このコンテンツは一般的な情報提供を目的としており、個別の症状や病気の診断、治療を推奨するものではありません。特定の健康上の問題については、必ず医師や医療専門家にご相談ください。サプリメントの摂取についても、ご自身の健康状態や服用中の薬との相互作用などを考慮し、専門家にご相談の上、適切にご利用ください。薬機法・景表法を遵守し、製品の「病気の予防・治療」を断定する表現は一切行っておりません。症状が「〜かもしれません」といった示唆表現に留め、診断や効果効能を断定するものではありません。